○川崎町議会基本条例

平成22年6月8日

条例第14号

目次

前文

第1章 目的及び最高規範性(第1条・第2条)

第2章 議会及び議員の活動原則(第3条―第7条)

第3章 町民と議会の関係(第8条―第11条)

第4章 議会と行政の関係(第12条―第15条)

第5章 自由討議の拡大(第16条)

第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第17条―第19条)

第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第20条―第22条)

第8章 補則(第23条)

附則

(前文)

川崎町議会は、川崎町民から直接選挙で選ばれた議員によって構成される、町民のための町政の決定機関である。

憲法は町長には執行権を、議会には議決権を与え、お互いにその権限を均衡させ、それぞれの独断専行を抑制して、適正で効率的な行財政運営をめざすという、いわゆる「二元代表制」に基づく地方自治の組織と運営を保障している。

議会と町長は、ともに町民の信託を受けて活動し、議会は多人数による合議制の機関として、また町長は独任制の機関として、それぞれの異なる特性をいかして、住民の意思を政策に的確に反映させるために競いあい、協力しあいながら、住みよい町づくりを進めていかなければならない。

特に地方分権化が進み、自治体の自主的な決定と責任の範囲が拡大した今日、町民の意思を代弁する議会の果たす役割は大きく、自由な議論を通じて、民主主義の発展と町民福祉の向上のために最大限の努力を払わなければならない。

さらに、川崎町がかつて産炭地として発展してきた地域の特性を生かしながらも、将来に向かって明るい未来を切り拓くために、議会としての役割を果たすことが大いに期待されている。

このように、議会に課せられた使命を達成するために、議会はここに「川崎町議会基本条例」を制定する。われわれ議員は地方自治法に定められた規定を遵守するとともに、積極的な情報の公開と発信、政策決定への民意の反映、議員間の自由な討議の展開、町長及び執行機関との持続的な緊張感の保持、議員の自己研さんと資質の向上、公共性と透明性の確保、議会活動を支える体制の整備等を積極的に進めることにより、町民に信頼される品格と存在感のある議会を築きたいと思う。

第1章 目的及び最高規範性

(目的)

第1条 この条例は、地方分権化と自治の時代にふさわしい、川崎町民(以下「町民」という。)の身近な政府としての川崎町議会(以下「議会」という。)及び議員活動の活性化と充実のため、必要な議会活動の基本的事項を定めることによって、町政の情報公開と町民参加を基本とし、川崎町民憲章(昭和63年3月10日制定)が目指す豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。

(最高規範性)

第2条 議会は、この条例を、議会運営の最高規範と位置づけ尊重しなければならない。

2 議会は、この条例に定める理念及び原則を遵守して議会を運営し、町民を代表する合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。

3 議会は、議員に対しこの条例の理念を周知浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後すみやかに、この条例に関する研修を行うものとする。

第2章 議会及び議員の活動原則

(通年の会期)

第3条 議会は、第1条の目的を達成するため議会の会期を通年とする。

(平成25年2月14日・一部改正)

(議長・副議長の選出)

第4条 議長・副議長の選出に当たっては、議会は、それぞれの職を志願する者に、議会活動の方向性を明確にし、町民に対する透明性を高めるため、所信表明の場を設けなければならない。

(議会の活動原則)

第5条 議会は、次に掲げる事項を原則として活動を行わなければならない。

(1) 公正性、透明性及び信頼性を重んじ、町民に開かれた議会を目指すこと。

(2) 町民の多様な意見を的確に把握し、町政に反映させるための運営に努めること。

(3) 町民にとって、分かりやすい言葉を用いた説明に努めること。

(4) 議会内での申し合わせ事項は、必要に応じて見直しを行うこと。

(5) 町民の傍聴しやすい議会運営を行うこと。

(委員会の活動原則)

第6条 川崎町議会委員会条例(昭和62年条例第77号)の規定による常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)の審査に当たっては、資料等を積極的に公開しながら、町民に対し分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。

2 委員会は、町民からの要請に応じ、審査の経過及び所管する行政課題等を説明するため、説明会又は懇談会等を積極的に行うよう努めるものとする。

3 委員長は、委員会の秩序保持に努め、委員長報告を自ら作成するとともに、質疑に対する答弁も責任を持って行わなければならない。

4 委員長は、委員会で議案・請願等を審査するときは、町民の意見を聴取するよう配慮しなければならない。

(議員の活動原則)

第7条 議員は、次に掲げる事項を原則として活動しなければならない。

(1) 議員は、議会が議論の場であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。

(2) 議員は、町政の課題について、町民の意見を的確に把握するため、自ら日々研さんし、町民の代表としてふさわしい活動をすること。

(3) 議員は、一部団体及び地域の代表にとらわれず、町民全体の福祉の向上を目指して活動すること。

第3章 町民と議会の関係

(町民参加及び町民との連携)

第8条 議会は、町民に対し積極的に情報を公開し、常に町民に開かれた議会を目指さなければならない。

2 議会は、本会議のほか、全ての会議を原則として公開とする。

3 議会は、参考人制度・公聴会制度を十分に活用して町民や学識経験者等の専門的・政策的識見を聴取し、議会の討議に反映させるよう努めるものとする。

4 議会は、陳情書又はこれに類するもの(要望書、嘆願書、要請書等)は、議長が議会運営委員会に諮って審査の必要があると認めるものは、請願書の例により処理し、審査の必要がないと認めるものについては、議員配布にとどめるものとする。

(平成25年2月14日・一部改正)

(情報の公開)

第9条 議会は、議長交際費を含め議会費の使途等を、川崎町議会だより(以下「議会だより」という。)、川崎町議会ホームページ等により町民に公表する。

(議会報告会及び議会住民団体懇談会)

第10条 議会は、町民の参加と連携を深める方策として、全議員出席のもと、「議会報告会」を年1回以上開催し、広く町民の意見を聴取して議会活動に反映させるものとする。

2 議会は、議員及び町民が自由に情報及び意見を交換する場として、公共性を有すると認められる団体との「議会住民団体懇談会」を開催するものとする。

(議会広報の発行)

第11条 議会は、町政に係る重要な情報を常に町民に対して周知するため、議会独自の視点から、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう努めるものとする。

2 議会は、情報発信の一つとして、議会だよりの発行を行い、議会広報活動に積極的に努めるものとする。

3 議会だよりの編集に当たっては、議員自ら編集を行い、議会と町民の架け橋となるよう「町民に読んでいただく、分かりやすい記事」を基本に編集するものとする。

第4章 議会と行政の関係

(議会と町長及び執行機関との関係)

第12条 議会審議における議員と町長及び執行機関(以下「町長等」という。)との関係は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めなければならない。

(1) 本会議における議員と町長等の質疑応答は、広く町政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行う。

(2) 本会議において質問を受けた者は、議長の許可を得て、質問の趣旨を質し、又は反問することができる。

(3) 本議会における質問及び発言は、町民の目線で要点のみを分かりやすく述べ、中傷的、歪曲的発言は厳に慎み品位ある発言に努めること。

(町長による政策等の形成過程の説明)

第13条 議会は、町長が提案する重要な政策を審議するにあたり、その論点を明らかにし、その政策水準を高めるため、町長に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。

(1) 政策の発生源

(2) 提案に至るまでの経緯

(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(4) 総合計画との整合性

(5) 関係ある法令及び条例等

(6) 財源措置

(7) 将来にわたるコスト計算

(予算・決算における政策説明資料の作成)

第14条 議会は、予算案及び決算を審議に付すに当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の説明資料を町長に求めるものとする。

(地方自治法第96条第2項の議決事項)

第15条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項に基づく議会の議決事項を次のとおり定める。

(1) 総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想及び総合計画

(2) 前号に掲げるもののほか、町行政の各分野における政策及び施策の基本的な方向を定める計画、指針、その他これらに類するものに関すること(行政内部の管理に係る計画、特定の地域を対象とする計画及び計画期間が3年未満の計画を除く。)で、次に掲げるものとする。

 都市計画、上下水道等に関する計画

 社会福祉、医療に関する計画

 農林水産業、観光、商工業、その他の産業の振興に関する計画

 町民生活の安全、交通、環境に関する計画

 教育に関する計画

 次世代育成、男女共同参画に関する計画

 国民保護に関する計画

(3) 定住自立圏構想推進要綱(平成20年12月26日総行応第39号総務事務次官通知)の規定による定住自立圏形成協定の締結若しくは変更又は廃止を求める旨の通告

(平成23年12月9日・平成25年2月14日・平成28年9月23日・一部改正)

第5章 自由討議の拡大

(討議による合意形成)

第16条 議長は、議会が「議論の府」であることにかんがみ、町長等の本会議・委員会への出席要請を必要な範囲内にとどめ、議員相互間の討議の機会を多く設けるよう努めなければならない。

2 議長は、必要に応じて全員協議会を招集するが、全員協議会は打合せ、意見調整の場であって、議決の場ではないことに留意しなければならない。

第6章 議会及び議会事務局の体制整備

(議員研修の充実強化)

第17条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化に努める。

(特別委員会の適切な設置運営)

第18条 議会は、社会、経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、特別委員会を積極的に設置運営する。

(議会事務局の体制整備)

第19条 議会は、議員の政策形成及び立案機能を高めるため、議会事務局の調査・法務機能の充実強化を図るよう努める。

第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇

(議員の政治倫理)

第20条 議員は、町民全体の代表者としての倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。

(議員定数の改正)

第21条 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。

2 議員定数の基準は、人口、面積、財政力及び町の事業課題並びに類似町村の議員定数も考慮し、決定するものとする。

3 議員定数の条例改正案は、町民の直接請求による場合を除き、明確な改正理由の説明を付して委員会又は議員から提案するものとする。

(議員報酬の改正)

第22条 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するとともに、川崎町議員報酬及び特別職給料審議会の意見を尊重するものとする。

2 議員報酬の条例改正案は、町民の直接請求による場合及び町長が提出する場合を除き、改正理由の説明を付して委員会又は議員が提案するものとする。

第8章 補則

(委任)

第23条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は別に定める。

この条例は、平成22年7月1日から施行する。ただし、第3条の規定は平成23年6月1日から施行する。

(平成23年12月9日)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成25年2月14日)

この条例は、平成25年4月1日から施行する。

(平成28年9月23日)

この条例は、公布の日から施行する。

川崎町議会基本条例

平成22年6月8日 条例第14号

(平成28年9月23日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成22年6月8日 条例第14号
平成23年12月9日 種別なし
平成25年2月14日 種別なし
平成28年9月23日 種別なし