○川崎町中小企業振興基本条例

平成29年9月15日

条例第16号

本町は、福岡県の中央内陸部の東寄りにあって、田川郡の南西部に位置する。彦山川の支流の中元寺川に沿った南北に細く伸びた形をしており、南に英彦山連峰、北に福智山地、そして東西を丘陵地に囲まれた農業中心の自然豊かな町である。明治以降、石炭産業の隆盛に伴い発展してきたが、昭和20年代に始まる炭鉱の合理化と閉山により、昭和33年をピークに人口の大幅な減少を招き、近年町の中小企業もその打撃を受けている。炭鉱閉山後の地域振興施策として、公共事業を利用し、工業団地の造成や道路網整備等の産業基盤整備を行ってきたが、経済のグローバル化、急速に進む高齢化、人口減少等に伴い、本町の中小企業は依然厳しい環境に直面している。しかし、中小企業は、本町の産業基盤の中核を担っており、中小企業の振興によって、雇用の創出、消費喚起、町の税収増加による福祉や教育等の行政サービスの向上等好影響が期待できる。

今後、社会及び経済構造が大きく変化する中で、次代に引き継ぐべき持続可能なまちづくりを推進するためには、中小企業の役割と重要性について、企業、町民、関係団体、金融機関等中小企業に関係する全ての者が共通の認識を持ち、その果たすべき役割を明らかにしながら、中小企業者の自主的な取組を基本としつつ、地域社会全体で支援していく必要がある。

ここに、本町の中小企業振興に向けた基本理念等を明らかにし、中小企業振興を本町の重要施策と位置づけ、社会が一体となって地域経済の活性化を図っていくため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、川崎町の発展に重要な役割を果たす中小企業の重要性にかんがみ、町内中小企業の振興について基本となる事項を定め、中小企業の振興に関する総合的な施策を推進するとともに、町民、事業者、関係団体及び町が、それぞれの役割について相互理解を深めることにより、町民の暮らし並びに調和した産業及び経済の発展を促し、もって町民生活の向上を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 事業者 営利の目的をもって生産活動又は経済活動を行うすべてのものをいう。

(2) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に掲げるものをいい、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(3) 関係団体 商工会議所、農業協同組合、金融機関、教育機関、町民団体その他中小企業の振興に関連する団体で、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(4) 大企業者 中小企業者以外の会社及び個人で事業を営み、かつ、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(5) 町民 町内に在住、在勤又は在学する者をいう。

(基本理念)

第3条 中小企業の振興は、次に掲げる基本理念に基づき推進されなければならない。

(1) 中小企業者等の創意工夫と経営向上及び改善に対する自主的な努力を尊重すること。

(2) 経済的社会的環境の変化に適応を図り、地域特性に応じた総合的振興施策を講ずること。

(3) 町民、事業者、関係団体及び町が、中小企業の果たす役割の重要性を理解し、連携のもとに協力して取り組むこと。

(施策の基本方針)

第4条 町は、第1条の目的を達成するため、前条の基本理念に基づき、次に掲げる事項を基本方針として、中小企業の振興に関する施策(以下「中小企業振興施策」という。)を実施するものとする。

(1) 中小企業者の経営基盤及び従業員の育成の強化の促進を図ること。

(2) 中小企業者の創業等の促進を図ること。

(3) 中小企業者と地域の協働関係の創出を図ること。

(4) 地域資源を活用した事業の推進を図ること。

(5) 観光事業との連携による協力関係の創出を図ること。

(6) すべての住民が参加できる産業振興の推進を図ること。

(7) 前各号に掲げるもののほか、町長が必要と認める施策

(町の責務)

第5条 町は、第3条の基本理念にのっとり、中小企業振興施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。

2 町は、中小企業振興施策を実施するに当たっては、国、県その他関係地方公共団体、中小企業者等、関係団体、金融機関、大企業者等及び町民と協力して、効果的に実施するよう努めるものとする。

3 町は、工事の発注並びに物品及び役務の調達等を行うに当たっては、予算の適正な執行、透明かつ公正な競争及び契約の適正な履行を確保しつつ、中小企業者等の受注機会の増大に努めるものとする。

4 町は、中小企業の振興を推進するため、積極的に情報を収集し、その提供に努めるものとする。

(中小企業者の役割及び努力)

第6条 中小企業者は、経済的社会的環境の変化に対応して、自主的に経営の向上及び改善に努めるものとする。

2 中小企業者は、事業活動を行うに当たっては、経営基盤の強化、人材の育成及び雇用環境の充実を図り、従業員が生きがいと働きがいを得ることができる職場づくりに自主的な努力を払うものとする。

3 中小企業者は、町が実施する中小企業振興施策に協力するよう努めるものとする。

4 中小企業者は、町内における他の事業者及び関係団体との連携に努めるとともに、町内において生産、製造、又は加工される製品、並びに町内において提供される役務の利用に努めるものとする。

5 中小企業者は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるとともに、自然環境との調和に十分配慮するものとする。

(関係団体の役割)

第7条 関係団体は、中小企業者の経営の向上及び改善に積極的に取り組むとともに、町が実施する中小企業振興施策に協力するよう努めるものとする。

(大企業者の役割)

第8条 大企業者は、中小企業の振興が本町経済の発展において果たす役割の重要性を理解し、中小企業者との連携を図るとともに、町が実施する中小企業振興施策に協力するよう努めるものとする。

2 大企業者は、町内における中小企業者及び関係団体との連携に努めるとともに、町内において生産、製造、又は加工される製品、並びに町内において提供される役務の利用に努めるものとする。

3 大企業者は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるとともに、自然環境との調和に十分配慮するものとする。

(町民の理解及び協力)

第9条 町民は、中小企業の振興が町民生活の安定及び向上並びに地域社会の活性化に資する役割を理解し、中小企業の健全な発展及び育成に協力するよう努めるものとする。

2 町民は、消費者として町内において生産、製造、又は加工される製品の購買や消費、並びに町内において提供される役務の利用に努めるものとする。

(人材の確保及び育成の支援)

第10条 町は、中小企業の事業の展開に必要な人材の確保及び育成を図るため、就業の支援、職業能力の開発、その他の必要な中小企業振興施策を講ずるものとする。

2 町は、学校教育における勤労観及び職業観の醸成が中小企業の人材の確保及び育成に資することにかんがみ、児童及び生徒に対する職業に関する体験の機会の提供、その他の必要な中小企業振興施策を講ずるものとする。

(意見の反映)

第11条 町は、中小企業振興施策に中小企業者等その他の関係者の意見を反映させるため、中小企業者等その他の関係者に対し、当該施策に関する情報を提供し、及び意見の交換を図るための機会を設けるなど、必要な措置を講じなければならない。

(財政上の措置)

第12条 町は、中小企業振興施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(実施状況の公表)

第13条 町長は、毎年度、中小企業振興施策の実施状況を取りまとめ、公表するものとする。

(委任)

第14条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、平成29年10月1日から施行する。

川崎町中小企業振興基本条例

平成29年9月15日 条例第16号

(平成29年10月1日施行)