○自然にやさしい地域づくりのための川崎町環境保全条例
平成20年10月1日
条例第34号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策(第7条―第9条)
第3章 重点的に推進すべき施策(第10条―第15条)
第4章 効果的な推進のための施策(第16条―第25条)
第5章 環境保全審議会(第26条―第29条)
第6章 補則(第30条)
附則
私たちの川崎町は、炭坑閉山以降の生活環境及び社会基盤の整備などの環境整備事業が終息した。そのような中で健康で文化的な生活を営むうえで、新たな環境基盤を構築し、健全で恵み豊かな自然環境を保全することが必要である。美しい緑や清らかな水の流れは私たちの心を和ませ、自然の景観は豊かな四季の移り変わりを感じさせるものである。
しかし、近年の社会経済活動は、生活の利便性を高める一方で、自然の再生能力や浄化能力を超えるような環境への負荷を与え、地球の環境にまで大きな影響を及ぼすようになった。
健全で恵み豊かな環境を保全することは、健康で文化的な生活を営む上で最重要課題であり、その環境を将来の世代に引き継いでいくことは、私たちの責務である。
私たちは、自然の恵みなしには生存できないことを認識するとともに、自らの生活様式や社会経済活動のあり方を見つめ直し、町、町民及び事業者が一体となり、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築へ向け、自然環境にやさしい地域づくりを目指すことを決意した。
こうした背景を踏まえ、本町では、生活に潤いや安らぎを与えてくれる地球的視野に立った環境の保全と創造を図り、地球温暖化防止に寄与するため、ここに、自然にやさしい地域づくりのための川崎町環境保全条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、町、町民及び事業者(以下「町民等」という。)の責務を明らかにするとともに、その施策の基本となる事項を掲げ、総合的かつ計画的に推進し、もって、現在及び将来における町民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体、又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(基本理念)
第3条 第1条の基本理念とは、次に掲げるものとする。
(1) 町民にとって、健康で文化的な生活を営む上で欠くことのできない、健全で恵み豊かな環境を保全し、これを将来にわたって次の世代に継承する。
(2) 人と自然の共生を図り、自然環境に恵まれた町の地域特性を活かす。
(3) 環境への負荷の少ない、持続的発展が可能な社会を実現するため、町、町民等は、その責務に応じた公平な役割分担を明確にし、自主的かつ積極的に取り組む。
(4) 地域における事業活動及び日常生活が、地球全体の環境にも影響を及ぼすとの認識の下に、地球環境の保全に寄与する。
(町の責務)
第4条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、町の自然的社会的条件に応じた基本的、かつ、総合的な施策を策定し、計画的に実施する責務を有する。
2 町は、環境への負荷の低減に努めるとともに、町民等の環境保全への意識の高揚のため、その施策を通じて環境への負荷の低減の重要性について、チラシの配布や看板の設置等によって啓発に努めなければならない。
3 町は、町民等の果たす役割の重要性に鑑み、町民等が行う環境の保全及び創造のための活動を支援し、又はその活動に協力するよう努めなければならない。
4 町は、広域的な取組みを必要とする施策について、国及び他の地方公共団体に協力を求め、又はその協力の求めに応じ、その施策の推進に努めなければならない。
(平成25年2月14日・一部改正)
(町民の責務)
第5条 町民は、基本理念に基づき、環境の保全に支障をきたすことを防止するため、日常生活において環境への負荷の低減及び自然環境の適正な保全に、自ら努めなければならない。
2 町民は、前項に定めるもののほか、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念に基づき、その事業活動を行うにあたっては、これに伴って生ずる公害の防止及び自然環境の適正な保全のため、必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、基本理念に基づき、環境の保全に支障をきたすことを防止するため、製造、加工又は販売その他の事業活動を行うにあたっては、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることにより発生する環境への負荷の低減に努めるとともに、再資源化等適正な処理が図られるよう努めなければならない。
3 事業者は、前2項に定めるもののほか、自らも地域の一員であるとの認識の下に、環境への負荷の低減、その他の環境の保全及び創造に努めるとともに、町が実施する施策に協力する責務を有する。
第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策
(環境基本計画)
第7条 町長は、第1条の目的に基づく施策を総合的かつ計画的に推進するための環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を策定する。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な施策の大綱
(2) 環境の保全及び創造のために、町、町民等が配慮すべき事項
(3) 前2号に掲げるもののほか、町の自然的社会的条件に応じた環境の保全及び創造に関する施策を、総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 町長は、環境基本計画の策定にあたっては、第26条に規定する川崎町環境保全審議会の意見を聴くとともに、町民等の意見が反映するよう努めなければならない。
4 町長は、環境基本計画を策定したときは、速やかに、これを公表するものとする。
5 前2項の規定は、環境基本計画を変更する場合について準用する。
(環境基本計画との整合)
第8条 町は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、これを実施するにあたっては、環境基本計画との整合を図らなければならない。
(環境の状況等の公表)
第9条 町長は、毎年度、町の環境の状況、環境の保全及び創造に関する施策の実施状況等について報告書を作成し、これを公表するものとする。
第3章 重点的に推進すべき施策
(健康の保護及び生活環境の保全)
第10条 町は、町民の健康の保護及び生活環境の保全を図るため、公害その他の環境の保全上の支障となる事象について、適正かつ迅速な処理に努めるものとする。
(自然環境の保全等)
第11条 町は、水辺、森林、農地等における多様な自然環境の適正な保全に努めるとともに、生物の多様性の確保に配慮するものとする。
(快適な環境の創造等)
第12条 町は、潤いと安らぎのある環境の創出、良好な景観の確保、歴史的文化的遺産の保存及び活用等を図ることにより、町の地域特性を生かした快適な環境を創造するとともに、自然と人との豊かなふれあいを確保するよう努めるものとする。
(環境への負荷の少ない社会の実現)
第13条 町は、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を実現するため、町の事業の実施にあたっては、環境への負荷の低減に資する原材料、製品等の利用に努め、町民等による資源の循環的利用、廃棄物の減量、水資源及び太陽熱を利用した公共施設の整備や各家庭への太陽熱機器設置の推進、新エネルギーの有効利用等が促進されるよう啓蒙、啓発を行うものとする。
(地球環境の保全の推進)
第14条 町は、地球環境の保全及び創造に資するため、地球温暖化防止を目的としたCO2などの温室効果ガスの削減、オゾン層の保護等に関する施策の推進に努めるものとする。
2 町は、地球温暖化防止やゴミ減量化へ向けて、生ゴミ等を活用したバイオマス事業の推進や各家庭のてんぷら廃油等を利用してBDF(バイオディーゼル燃料)を製造し、地域公共交通網の整備と併せて活用の推進に努めるものとする。
(環境教育の充実及び環境学習の推進)
第15条 町は、環境の保全及び創造について、町民等の理解を深め、その活動を自発的に行う意欲を増進させることにより、環境教育の充実及び環境学習の推進を図り、家庭、学校、職場、地域等において、積極的な連携の下に推進されるよう努めるものとする。
第4章 効果的な推進のための施策
(環境影響評価の推進)
第16条 町は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある土地の形状の変更、工作物の新設、その他これらに類する事業を行う事業者が、当該事業の実施に伴う環境への影響についてあらかじめ自ら調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、当該事業に係る環境の保全についての適正な配慮が推進されるよう、助言に努めるものとする。
(規制の措置)
第17条 町は、環境の保全に支障をきたすことを防止する必要があると認めるときは、関係行政機関と協議の上、適切な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。
(誘導的措置)
第18条 町は、町民等が自ら行う環境への負荷の低減を図るための活動並びに環境保全の活動に対し、必要があるときは、助成、支援その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(環境に配慮した公共施設等の整備)
第19条 町が、公共施設等の整備を行うときは、環境の保全及び創造に配慮し、環境への負荷を低減する措置を講ずるよう努めるものとする。
(町民団体等の自発的な活動の促進)
第20条 町は、町民等又はこれらの者が組織する団体(以下「町民団体等」という。)が、自発的に町内の公園や空き地等に落葉広葉樹等を植樹し、緑化の推進を図り、CO2など温室効果ガスの削減、再生資源の回収、地下水の保全、その他環境の保全及び創造に関する活動を促進するため、技術的な指導又は助言、その他必要な措置を講ずるものとする。
(情報の提供)
第21条 町は、町民団体等が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動を促進するため、個人及び法人の権利や利益の保護に配慮しつつ、必要な情報を町民団体等に適切に提供するものとする。
(町民団体等の意見の施策への反映)
第22条 町は、町民団体等の意見を環境の保全及び創造に関する施策に反映するよう努めるものとする。
(調査及び研究の実施等)
第23条 町は、環境の保全及び創造に関する施策に資するため、調査及び研究並びに情報の収集に努めるものとする。
(廃棄物等の不法投棄の禁止)
第24条 町民団体等は、基本理念に基づき、環境の保全に支障をきたすことを防止するため、町内の道路、公園や空き地等への廃棄物の不法投棄や散乱の防止に努めるとともに、ビン・カン等の廃棄物を積極的に回収し、町内の美化活動の推進に努めなければならない。
(監視等の体制の整備)
第25条 町は、環境の状況を把握するために必要な監視、測定等の体制の整備に努めるものとする。
第5章 環境保全審議会
(設置)
第26条 町は、環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、川崎町環境保全審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
(所掌事務)
第27条 審議会は、第7条第3項に規定する意見を行うほか、環境の保全及び創造に関する事項を調査審議する。
2 審議会は、必要があると認めるときは、環境の保全及び創造に関する事項について、町長に意見を具申することができる。
(組織)
第28条 審議会は、町長が委嘱する委員15人以内をもって組織する。
2 委員の任期は2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員は、再任することを妨げない。
(規則への委任)
第29条 この章に規定するもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第6章 補則
附則
この条例は、平成20年10月1日から施行する。
附則(平成25年2月14日)
この条例は、公布の日から施行する。